【千香子の闇夜の部屋 vol.20】
前回は「故人の預金口座」名義変更の手続についてお伝えしました。
大半の相続手続きには、被相続人(亡くなった方)の子ども、または親であることを証明するための戸籍謄本が必要となります。また、被相続人の戸籍謄本が必要な場合も少なくありません。相続の手続きで戸籍謄本がいつ必要となるのか、その場面もお伝えしておきましょう。
戸籍謄本の手続きの前に、まずは死亡届の手続きが先です。故人が亡くなったとき、死亡届けを役所に提出することで「死亡証明書」が発行されます。死亡届を出すと、故人が亡くなったことが戸籍謄本に明記されます。
「戸籍謄本」が必要なタイミング
- 銀行預金の名義変更
凍結した銀行口座の解除に必要
※相続される全員の戸籍謄本も必要です。 - 故人が不動産や自動車を所有していた場合
例)両親が亡くなっており、祖父母の相続をする場合は「両親の兄弟姉妹の戸籍謄本」が必要です。
更に、たとえば兄が亡くなっていた場合、その子どもの戸籍謄本も必要です。 - 遺族年金申請
年金を受給する前に不幸が訪れる方もいらっしゃいます。亡くなられた方が年金を収めている方であれば遺族年金が申請できます。遺族年金を申請する際に「年金加入者が死亡した証明」と「生計を共にしていた証明」が必要です。その際の証明として、死亡手続き後の戸籍謄本が必要になります。 - 相続税の申告
相続税の申告が必要な場合に必要です。
この申告の際も故人と相続した全員の戸籍謄本を添付して申告します。 - 遺言書の検認
遺言書がある場合は、家庭裁判所での検認が必要です。
相続に関わることですので、相続人と故人の関係を確認するために必要とされます。
注1)検認は相続する方のみではなく、相続人全員の戸籍謄本が必要です。
注2)検認は証明書が発行されるまで1~2か月かかります。※遺言書の検認については裁判所のURLを添けておきますので必要な方はそちらでご確認ください。(出典:裁判所/遺言書の検認 概要〜申立書の書式及び記載例) - 埋葬料や葬祭料の申請時
故人が社会保険・国民健康保険に加入していた場合、埋葬料や葬祭料の申請をする際に必要です。
数えると謄本は最低6~7枚は必要になってくるようです。また、忘れてはいけないのが戸籍謄本の“有効期限”。こちらは「3ヶ月以内」です。使用する際は、有効期限も視野に入れて取得することをおすすめします。
列挙してみますと、これだけたくさんのタイミングで戸籍謄本が必要なのだと改めてその多さを実感します。予期せぬ不幸が訪れてしまったとき、誰しもが慌てて多くの不安を抱えるものであると思いますが、少しでもお役に立てれば嬉しいです。