【千香子の闇夜の部屋 vol.29】
第一章 株と相続・事業承継
◆第三項 「自社株の後継者への集中」(3)自筆証書遺言
自社株を後継者に集中させる方法として、「遺言」という方法もあります。
遺言は経営者の意思表示ですので、確実に伝える手段です。
今回は経営者の方以外の皆様にも参考になる内容となっています。
遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。
今回は、「自筆証書遺言」についてお伝えしていきますね。
自筆証書遺言
遺言者が遺言の全文及び日付・氏名を自筆で作成します。
要項
① 遺言者本人が本文全てを自筆する
② 日付は作成した年月日を記入する
③ 住民票の記載通りに署名する
④ 押印は認印でもよい
パソコンや他者が作成した遺言書は無効となります。また録画・録音の遺言書は認められませんので注意してください。ただし、財産を目録として別紙で作成し、遺言書に添付する方法もあります。目録はパソコンで作成は可となっています。
自筆で作成した目録は自身の手書きの署名と押印が必要です。
預金通帳等の別紙コピー添付書類がある場合は、署名と押印が必要です。
自筆作成時に書き間違えが発生した場合は、訂正箇所に二重線を引き二重線の近くに押印します。
余白には訂正した字数を「〇字削除」と記入します。追加の場合は余白に「〇字追加」と記入します。
訂正印は署名と同じ印鑑を使用してください。
訂正と追記についてお伝えしましたが、無効になることもあり得ますので、改めて書き直すことをお薦めします。
「自筆証書遺言」のメリット・デメリットとは?
それでは次に「自筆証書遺言」のメリット・デメリットをお伝えします。
<メリット>
① 手軽に作成できる
② 費用が掛からない
<デメリット>
① 無効になりやすい
② 争いの種になりやすい
③ 紛失するリスクがある
④ 隠蔽・破棄・変造されるリスクがある
⑤ 法務局に預けなかった場合「検認」(※)が必要
※「検認」とは遺言書の保管者が発見した人は、相続人に遺言書の存在を知らせ家庭裁判所に提出し、遺言の偽造や変造を防ぐ手続きです。ですので、相続人は遺言書を見つけても勝手に開封してはいけません。遺言書が無効になりますので注意が必要です。 |
⑥ 作成者が認知症など、判断能力がないまま作成される可能性がある
法改正により「自筆証書遺言」を法務局に預けられる制度ができたようなので、利用することでリスク回避になると思います。 |
次回は「公正証書遺言」についてお伝えしますね。
※ 参考資料 政府広告オンライン「明日の暮らしをわかりやすく」
相続会議(HP)