ラーメン店のどんぶりについて
日本人の国民食となったラーメン。このラーメンで不思議に思うことは、出てきたときに、やたらに量が多く見え「結構なボリュームだな~」と思っていても、いつの間にかなくなってしまうことだ。これは実は目の錯覚を利用している。ラーメンのどんぶりは、円柱ではなく、円錐を逆さにしたものが基本。上のほうは円周が大きいが、底に行くにつれてだんだん小さくなっていく。さらに、漠然と見ただけではわからないが、どんぶりには、大きく分けて4種類ある。
昔、よく使われていたのが、反丼(そりどん)というもので、上のふちが外側に反っているもの。形は良いのだが、スープがこぼれやすいし、指がスープの中に入ってしまうなどの欠点があり、今はあまり使われない。もっとも一般的な形が、ごはん茶碗をそのまま大きくした高台(こうだい)と呼ばれている。なめらかな曲線で、だんだんと下に行くほど細くなっているものだ。
ボリュームを売りにしたお店なら、玉丼(たまどん)を使っている。これはどんぶりの下腹にあたる部分が膨らんでいるもので、量はよく入る。それと逆に、見かけほどの量がないのが、切立(きりたて)というもの。直線的に細くなっていくもので、真横から見たときに逆三角形に近いもの。こういう店は、見かけを多く見せようとしているのだから、コスト計算が厳しい店といえる。量が少ない分、味や品質にお金をかけてくれるのなら良いけれど、そうでないのなら、ちょっと問題あるかも。
というわけで、ラーメンの量は上からではなく、真横から見ないと本当のところはわからないのである。皆さん、どんぶりの形状でごまかされないように注意しましょう。
髙橋 正典