【千香子の闇夜の部屋 vol.27】
第一章 株と相続・事業承継
◆第三項 「自社株の後継者への集中」(1)
自社株の把握が終わると、承継後の経営を安定させる必要が生じます。平成18年にできた会社法では、株主の権利が強くなったため、承継間もない経営陣がやりやすいように自社株の後継者への集中が必要になることもあります。
そのための方法をお伝えしていきますね。
生前贈与:贈与には毎年110万円以下まで贈与出来る「暦年贈与」と、ある程度まとめて贈与する「相続時精算課税制度」があります。
【暦年贈与】
贈与をスタートした年の1月1日から12月31日までの一年間に贈与を受けた合計額から、基礎控除の110万円を引きます。その金額に各税率を掛け、速算控除額を引き税額を算出します。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | ― |
200万円超300万円以下 | 15% | 10万円 |
300万円超400万円以下 | 20% | 25万円 |
400万円超600万円以下 | 30% | 65万円 |
600万円超1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,000円超1500万円以下 | 45% | 225万円 |
1500万円超3000万円以下 | 50% | 250万円 |
3000万円超 | 55% | 400万円 |
(贈与額―基礎控除額110万円) × 税率 − 控除額
(例) 年間の贈与額が400万円の場合
(400万円―110万円)×15% − 10万円=33.5万円
自社株を暦年贈与した場合
一株当たりの株式価格×贈与株式数=贈与財産合計額
贈与財産合計額 − 基礎控除110万円 = 課税価格
課税価格×税率 − 速算控除額 = 贈与税額
例)一年間で自社株を100株贈与した場合
※ 株の評価価格一株5万円とした場合
5万円×100株=500万円
(500万円 − 110万円)×20% −25万円 = 53万円
今回ご紹介した暦年贈与は比較的算出しやすいと思いますが、不動産や高額な貴金属なども贈与の対象になるので注意が必要です。
次回は相続時精算課税制度をお伝えしますね。
今回は贈与税の計算ですので、相続が発生した場合の税の計算とは違いますのでお気を付けくださいね!
- 参考資料 国税庁HP 中小企業庁HP