【千香子の闇夜の部屋 vol.26】
第一章 株と相続・事業承継
◆第二項 「株の把握と評価」(2)
【株主名簿の確認】
中小企業経営者の皆様、貴社株主の状況把握はできていますか?
株主総会の招集通知、剰余金の配当などで自社の株主を把握する必要は重要ですが、事業承継の際にも重要な事項です。
「経営に全く関わっていない株主・自社株を保有していた役員や従業員・付き合いのない親族が行方不明等」はありませんか?
特に平成2年の商法改正までは、株式会社設立に7人以上の発起人が必要で、直接事業に関わらない株主が必要でした。中には名義借りもあったと世間では言われています。このような不明な方々が既に亡くなっていて、事情を知らない相続人に承継されるケースもあります。
それゆえ、今一度、自社株の株式名簿を確認することと、早めの対策をお勧めします。
自社株の分散は、事業承継に於いて障害を起こす可能性がありますので注意が必要です。
ケースは次の通りです。
① 自社株の分散により、相続税や贈与税の「納税猶予制度」が十分に利用できなくなる。
② 相続された見知らぬ株主から何らかの主張や請求され、会社の運営に支障が出る。
③ 株主総会で重要な案件を協議する際、株主総会に出席した三分の二以上の(賛成)議決権が必要。
なぜ、株(何%も含む)の把握が必要なのかご理解いただけたでしょうか。
先述の通り平成2年以前に設立された会社の場合、現在の経営陣と面識がなく、当時の経営陣の知人・付き合いがあった方の親戚等が株主になっている可能性があります。
実際に私も株主総会招集通知を出して、宛先が見当たらないとの事で戻ってしまい、何ともならない状況があります。そのため、顧問弁護士にお伝えし対応していただいています。
皆様も株主の現状把握をされ、所在や存在が不明な場合は速やかに顧問の弁護士にお伝えすることをお勧めします。私としては早く手掛けておけばよかったことのひとつです。