ファミレスといえば、洋食のイメージが強かった。
洋食のメニューはけっこう充実していて、ハンバーグ、スパゲティ、ステーキといったあたりが人気メニューのはず。せいぜい、味付けが和風味しか和風の料理はなかった。
それが、最近では中華もあれば、和風料理もメニューに登場するようになり、なかなかの人気を呼んでいるようだ。全国どこでも同じものを同じ値段で出す、というのがファミレスの基本のコンセプトだが、このためには工場が作ったものを冷凍して各店に運び、店では加熱して盛り合わせるだけというシステムが必要とされた。
この結果、冷凍食品になじまないものはメニューに加えられず、それが和食を締め出していた理由のひとつだった。その後、冷凍技術も進み、鉄火丼やいくら丼などの丼ものも可能となった。しかし、最後の難関として残ったのが日本蕎麦だ。蕎麦は打ってから時間が経つと水分が飛んでしまい、蕎麦粉のつなぎが分解し、味が落ちる。
その問題を解決したのが最新の冷凍技術だ。
急速冷凍することで味を落とさずに保存し、冷凍のまま店まで運搬し、店のキッチンで解凍して茹でるという方法を確立したからである。蕎麦は客の注文を受けてから茹でるのが基本だが、いい加減な蕎麦屋では、昼の混雑時など、あらかじめ茹でておいたものをお湯につけるだけで客に提供している。
それに比べれば、ファミレスの蕎麦のほうが良心的といえるかもしれない。いい加減な蕎麦屋より、味のほうもいけると思う。