【千香子の闇夜の部屋 vol.32】
第一章 株と相続・事業承継
◆第三項 「自社株の後継者への集中」(6)金庫株 vol.2
前回に引き続き「金庫株」についてお伝えします。
どんな手段にもメリット・デメリットがあります。今回は金庫株の売買、株主(売り手)と会社(会社)双方のメリット・デメリットをお伝えしていきましょう。
<株主(売り手)のメリット>
相続の支払いは現金納付です。前回述べましたが、意外と株価が高く相続人が自社株を取得すると、現金で納付しなければなりません。相続人が自社株を発行会社に買い取ってもらい、「納付資金」を調達することができるのが大きなメリットです。
<発行会社(買い手)のメリット>
非上場会社の株主は、それ程多くはありません。よって株を買い取ることで経営に意見される、介入されるケースが減少し経営をスムーズに進めることができます。
また買い戻し請求を行うことで、見ず知らずの第三者への株式譲渡を防ぐことができます。
※但し、定款に定めておく必要があります。
<株主(売り手)のデメリット>
自社株を売った資金の一部が会社の利益分配とされ「みなし配当」という課税される税制に該当するケースがあります。
<発行会社(買い手)のデメリット>
自社株を買い取る際は資金が流出するので、資金に余裕がない場合は資金繰りが苦しくなることが懸念されます。
更に「みなし配当」とみなされた場合、企業側は源泉徴収されます。
「金庫株」のメリット・デメリットをお伝えしました。
株の売買は上場企業と違い非上場企業は株の評価額を算定する必要があり、更に同族株主の場合と同族株主以外では評価方法が違いますので、メリット・デメリットを考慮しながら進めることが必要となります。
やはりプロの方に相談することをお薦めします。次回はM&Aについてお伝えします。